新思潮No.130 2015年1月号より②
―青森吟行(2014年10月19日)―
 参加者19名。青森吟行の一日が始まる。青森を代表する岩木山に見守られながら、一行を乗せたバスは、快晴の空の下、津軽平野を快走する。
すすき原ひろがる うそつきはどこだ 熊谷冬鼓
パノラマの思考の先に岩木山 山崎夫美子
鉄塔点々 津軽平野のど真ん中 鮎貝竹生
われはまだ少年であり岩木山 坂根寛哉
 太宰治の生家「斜陽館」へは青森市内のホテルからバスでたっぷり1時間かかる。参加者がぜひにと希望していた人気の観光スポットだ。国の重要文化財に指定されている。
恍惚も不安もマントの中で咲く ま き こ
秋真昼太宰のうれい降りそそぐ 福田文音
太宰治の文に溺れる藍の月 岡田俊介
故里の幹細胞の斜陽館 岩崎眞里子
遠い眼の太宰の眉の枯野かな 矢本大雪
 立倭武多(たちねぷた)の館へ。館内に入ると、7階立てのビルにも匹敵する2台の巨大な倭武多に圧倒される。大型スクリーンには、画面から飛び出してきそうな立倭武多と祭の様子が映し出されて圧巻だ。倭武多と町を愛する人々の熱い思いが伝わってくる。
立倭武多浄土を少し見て帰る福井陽雪
定型をどう乗り越えた 立倭武多氈受 彰
囃サレテ焔ヲタテテミタノデス奈良一艘
 道の駅なみおか・アップルヒルでりんごもぎを体験。りんご畑のりんごは秋の陽射しに照らされ、まるでキラキラ光る赤い宝石のよう。
幸福と林檎どっちが北にある八上桐子
りんごたわわで立ち位置がわからない吉田州花
りんご捥ぐくるりと秋を裏返す西田雅子
原罪のりんごに触れるたび愉悦吉見恵子
野生の文字と遊びしりんご園元永宣子
 吟行最後に立ち寄ったのは青森県近代文学館。太宰治をはじめ青森県ゆかりの作家たち(俳人や柳人も)が紹介されている。
 ほかにも訪れたいところはまだまだあるけれど、青森の自然に触れ、文学の世界に浸り、倭武多を愛する人々の心を感じ、りんごもぎでは大地の恵みをいただくことができて、本当に充実した一日でした。
 今頃、青森のあの平原も、太宰の家も、りんご園もすっぽり雪の中でしょうか。
 冬の青森も訪ねてみたい…
 青森の皆さん、ありがとうございました。 青森、大好きです!
<文・西田雅子>

2015. 2. 1


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