

2013年11月23日
〈 合評会 〉会場 Hサンルートソプラ神戸 司会 山崎夫美子 参加者 28名 ※事前投句雑詠3句 事前互選1人5句選(内秀句1句2点) |
||
7点句 | まな板の窪み ルサンチマンの詩(うた) | 古谷恭一 |
コスモスの駅で戦車に乗りかえる | 佐藤純一 | |
ふわっと立ち上がる思想らしきもの | 内田万貴 | |
凜とひまわり 少年は変声期 | 山辺和子 | |
6点句 | 覗いたのはその青のまだ奥の青 | 山下和代 |
この風の先にしずかな手があって | 寺田 靖 | |
明日までに枝葉をすべて列記せよ | 清水かおり | |
円空のほそき眼差し船を焼く | 久保田寿界 | |
水や地にくちづけをする姉の既視 | 清水かおり | |
5点句 | たてがみがなびかぬままに父のジオラマ | 山崎夫美子 |
蔓ひけば五色の迷い野葡萄(へびぶどう) | 杉山夕祈 | |
爪立ちはひたすらタクラマカン砂漠 | 清水かおり | |
飄々と箴言を吐く石畳 | 内田万貴 | |
喪いしものかさね着て歩みたり | 平山繁夫 | |
水を編むいずれは辿り着けるもの | 西田雅子 | |
4点句 | つかつかと秋くる砂糖醤油味醂 | 辻 嬉久子 |
りんご剥くほどかれてゆく物語 | 西田雅子 | |
朝顔や母の鈴止むぶらんこ垂直 | 西条眞紀 | |
仮病ではない青猫を膝に抱き | 古谷恭一 | |
3点句 | おたまじゃくしが笑った確かに笑った | 海地大破 |
雨は静かに母のページを剥いでゆく | 山辺和子 | |
風軽く日軽き街の人となる | 鮎貝竹生 | |
ブリキの指で千の蝶を飛ばしては | 姫乃彩愛 | |
一昼夜晒して秋を釣り上げる | 中林典子 | |
足許が少し狂って雲を踏む | 海地大破 | |
細胞のひとつひとつに但し書き | 山下和代 | |
2点句 | 夜は澱んで予定調和をくりかえす | 内田真理子 |
刻が弾けてあの橋の向こうまで | 中林典子 | |
ウツは月の暈胸中に黒い猫 | 山内 洋 | |
誤作動のベル鳴る夏のことづてか | 山崎夫美子 | |
言い負かして面白くもなし冷奴 | 鮎貝竹生 | |
左手のピアノに秋が来てゐたり | 久保田寿界 | |
暗闇に曳かれし蛍ほーほたる | 元永宣子 | |
白いカーテンひらりひらりと終世紀 | 姫乃彩愛 | |
書斎にはさすらう花を飾ってこそ | 岡田俊介 | |
春画の端を鴉が突ついている | 佐藤純一 | |
月を基点にひらかれる窓ひとりの灯 | 山崎夫美子 | |
銀河より剥され寓話となる海星(ひとで) | 杉山夕祈 | |
そぎおとす装飾 汗馬のポーズ | 辻 嬉久子 | |
雲の端に母を探している小舟 | 岩崎眞里子 | |
1点句 | 吉野なる「かくれ里」ゆく草の絮 | 田中未知 |
ひらいた指のそこが純白なのですね | 姫乃彩愛 | |
芒囃せばぞろぞろ出でぬ秋の餓鬼 | 大谷晋一郎 | |
秘すれば花 はなは無限の闇をもつ | 平山繁夫 | |
秋の章きのうの風は行方不明 | 西田雅子 | |
三遊間抜けた辺りを百グラム | 中林典子 | |
偶然に倒れた椅子を抱き起こす | 海地大破 | |
止めどなく生まれ流れている覚悟 | 岩崎眞里子 | |
青白磁茶碗の底のつまみ湯葉 | 辻 嬉久子 | |
木洩れ日のゆらゆら約束は明日 | 矢澤和女 | |
蹄跡追ってたましい棲む森へ | 寺田 靖 | |
秋の水ごくごく鹿の口をして | 大谷晋一郎 | |
秋天や水包帯をそっと剥く | 内田真理子 | |
濃い味に仕上げて冬を分かち合う | 寺田 靖 | |
※柳誌には選者名と合評の詳細(鑑賞等)を合わせてご紹介します。 |
2013.11.29